アイロニー


青い蜥蜴が笑います。

「おじょうさん、おじょうさん、きつねのいうこたぁきいちゃいけねぇあいつらとってもうそつくのがうまいやからだからねえ」

黄色い蛇が歌います。

「おじょうさん、おじょうさん、きつねのうたにゃあだまされちゃいけねぇあいつらこえばっかいいやからだからねぇ」

けれども、私の前にいた狐は黙ったままです。私は静かに、恭しく狐にお辞儀をしました。狐も随分丁寧にお辞儀をします。黒い狐はこぼします。

「おじょうさん、おじょうさん、わたしはさびしいんだよあなたのやさしいこころがほしいなあ、どうだいな」

狐は笑っても歌ってもいません。わたしはにっこり微笑みました。

「いいですよ」

狐が私の首に噛み付きました。赤い赤い血が流れます。蜥蜴と蛇は笑います。

「ああおじょうさん、いわんこっちゃない。いわんこっちゃない」

蜥蜴と蛇は歌います。

「いわんこっちゃないいわんこっちゃない」

けれど狐は泣くのです。

「ああ、おじょうさん、ありがとうありがとう」

と。私は自分の温かな血にまみれて、やっぱり微笑むしかできませんでしたけれど。

END

 

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