what a ridiculous love!



「大丈夫ですよ」

なにが、と尋ねたい気持ちはあるが声はでないし、自分に跨がったままの彼の顔は逆光でよくわからない。ただ自分の口を塞ぐ彼の手がかすかに湿っていて汗の匂いがすることが、妙にリアル。

「少し苦しいの我慢したら、それで終わりですから、たぶん」

たぶんなんだ、と目で訴えた。きっと伝わってない。彼はこっちを見てかすかに微笑んだだけだった。

殺される。確信がある。けれど不思議と恐怖心はわいてこない。安心とも妥協ともちがう。

ただ、わかっていた気がする。彼が自分を殺そうとすること、それを知っておきながら彼を傍に置いていたこと、自分は自分が思う以上に彼を想っていること。目を閉じた。我慢するのは苦手だが、彼ならすんなり殺してくれる気がする。

「貴方はずるい」

結局、殺されなかった。少し拍子抜けする。彼は横で顔を伏せている。どんな顔をしているか、わかってしまうほど、長くいすぎたのかもしれない。

「ずるくない。殺せないのは、自分のせい」
「きっと僕は、貴方を愛しすぎてる…いや、違うな、想いすぎてるんだ。貴方が憎くて仕方がないというのに、貴方がいとしくて殺せないでいる」

そうして、眉間に皺をよせて彼は高らかに笑った。それが最大の自嘲であることなど、声でわかる。ずっと、傍にいたのだから。
ふと天井のシャンデリアに目をやる。きらきらと、このシチュエーションに場違いなほど輝かしい。あのシャンデリアがまだ、この屋敷に運ばれる以前だったら、きっと彼は自分を殺せただろうに。けれど、今、もう、シャンデリアは誇らしげに輝いているから。

「抱きしめさせてください」
「絞め殺す気?」
「できたらね」

手を伸ばすと、彼は顔をふせたまま懐にはいってきた。両腕が背中に回る。服越しに感じる手のひらの温度は驚くほど冷たいのに、彼の体は熱い。

とけ、そ。

ぐっと、力がはいった。息がうまくできない。今度こそ、死ぬかもしれない。
不意に彼の泣き声が耳元で大きくひびき、首筋が涙でぬれた。

「愛してる、憎くてたまらないぐらい」

つぶやいたのは、自分か彼か、わからないぐらい、近い。


END

***
某BL用に書いたものだったりして(殴
名前をださなきゃわからな〜い^^
 

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