な み だ 苦いと、苦しい、どっちも同じ漢字を書くのはなぜだかわからなかったけれど。 今ならその意味わかるよ。 「なんで泣くんだよ」 そういう君も、なんで泣く。 同じ気持ちでもないのに、そんな優しさなんでいらないんだ。 お願いだから、潔く諦めさせてくれないか。お願いだから。 涙は呼吸をさえぎり、舌をしびれさせる。 苦しいよ。苦いよ。 同じなんだ、な。 「泣くなよ」 君も、泣くなよ。 俺を哀れんでなんか、泣かないでくれよ。 なあ、君は俺を好きか? ――――― Dolphin Kick 遠くを見つめたまま、君は動かない。 こっち見てよ、なんていえないし、言う気もないけれど。 こうしていつも、ずっと、同じ時間を二人で共有しているのに、きっと気持ちは伝わらない。 君の気持ちは嫌というほど伝わってくるのに、私の気持ちは伝わらない。 「イルカってすげえ傷だらけなの、知ってた?」 「確かに。なんか生々しい」 「あいつらって頭いいからさ、絶対ガラス突き破ろうとしてんだぜ」 「どうかーん。日本侵略とか」 「うぜえー」 くだらない話ばかりして、でもその時間が楽しくて。 諦めさせてほしいのに、君はいつもこうやって私を惹きつけて。 ただの責任転嫁だってわかってるし、見てみぬふりをしているのだってわかっているけれど。 私は君の一番の友達で、君は私の一番大切な人なのに。 遠くを見る目が、どれだけ透き通ってるかを私が一番知っているはずなのにね。 私は君が大好きなんです。 たとえイルカが日本を侵略しようとも。