2009 January〜February

2/27

つないでいてよ 

つないでいてよ、いっそこの死体の海に埋もれるならば

つないでいてよ、嫉妬するこの指を温かいあんたの心で

つないでいてよ、もう泣かないと約束するから

つないでいてよ、あんたのことを愛しているから


2/26

否定拒否あたりのような 

まるい、赤い点があって
それがなにか確かめる前に
ぼくの前に君がたおれてきて

腹から血を流す君は
ずいぶんと色っぽくて愛しくて
なんてことだろう

ぼくは君に恋してる


2/25

きんもくせいの、 

きみはしぬといいました
だからぼくはくびをしめました
だってたぶん
きみのなみだは
ぼくをぬらさないんだもの

ゆうひがこわいぐらいきれいで
きみのくちからでるあわが
しゅわしゅわ
せんざいみたいで

ぼくはおなかがすいた


2/23

だから 

「ちがう、俺が言いたいのは」

雨が降り始めた。学内生徒たちが一斉に駆け込んで行く。
たった二人、拓也とミサユだけが雨に濡れて立っている。

「俺が言いたいのは」

さっきまでのミサユの涙と雨が一緒になる。
だれかが泣いているような、というフレーズは在り来りだと彼女はぼんやり思う。

「お前が好きって、ことなのに」

拓也の指が、手が、頬に触れた。
二人ともが濡れている。
二人ともが泣いている。

2/19

死ぬということは 

終わりがくるということであるが
続くということでもあるのではないか

2/14

(no subject) 

お前、どうかお前よ
愛しいと思うこの気持ちだけでも
うけとってくれはしまいか

お前、どうかお前よ
切ないとあがくこの軋みだけでも
みとってくれはしまいか

お前、どうかお前よ
苦しいと吠えるこのからだだけでも
なくしてくれはしまいか

お前、どうかお前よ
お前、どうかお前よ

明日の朝、足を浸す澄んだ泉でも
昨日の夜、指を浸した濁った草の中でも

お前、どうかお前よ

あの銀の鈴はまだ
私の名を呼んでくれるか


2/9

足が 

歩いて歩いて、歩き続けた
その果てに

私の足の裏は擦りむけて
小さな泉になった

2/1

底無しの
 
曇り空、である。
私は自分の生まれた日にバイバイをしなければならないと悟った。

ここが地上か海底かもわからないぐらいだ。
底無しの曇り空、である。

バイバイ、となかったことにしたい。
始まりをなかったことにできるなら、終わりをなかったことにできる。

私自身をなかったことにできる。
できる、のに。

1/27

SLOW NIGHT 

あえげ、あえげ、あえげ。

イナは耳元で言ってる。いや、言ってない?どっちだ。どっちでもいいや。
あえげ、なんてまるで死ぬときのカエルみてぇな声だよな。馬鹿みてぇな、声。
けど、たぶん、イナにつっこまれて息絶え絶えになってる俺はカエル以下だ。
ただの肉の塊。あえげ、なんて。

あえげ。

げえ。

ばかみたいな話。
だが愛してるとちんこはいつもそこに。

1/26

わたし 

冷えた空気は温度全てをとりさっていく。
だけど、たぶん邪魔なものが全部なくなっていく体は、
すべてが研ぎ澄まされたみたいだ。
私に、邪魔なもの、全部、消えろ。

息を吐いて、吐いて、吐いて、たまに吸う。

凜とした空気と、ただただ広い星空と、ほんの少しの絶望と。
あとはあたたかいミルクティー。
世界のどこかにいる、私を愛してくれる人。私が愛する人。

それさえあれば。
それさえあれば。

あとは全部消えればいい。なくなれば、いいの。

***

みっつ 

ことば
みっつ
つなげ

どこか
とおく
ともに
いこう

あなた
わたし
たった
ふたり

どこか
とおく
つれて
ほしい

「いこう」

たった
みっつ
ことば
つなげ

1/21

クッドビー 

寒い朝に息を思いきり吸い込んだら気管支のあたりになにかつっかかったみたいで苦しかった。

私はきっと
生きることを拒否してるんじゃないかってぼんやり思った。

空は暗い、曇り空。
雑音ばかりが耳につく。

1/18

とけて 

今
僕がこうして

キィを打った感覚
君に伝えたかった気持ち
消した文面
思い出した思い出

そんなものたちが

夏の汗
冬の涙

出棺の音
燃えた煙り
泣いた跡

とけていったものたちが

いつか僕が死んで
君も死んで

僕を知るものが死んで
さよならして

だけど

きっと

生み出すものがあればと

おだやかに眠る君の横で僕は一人ひそやかに泣いたのだ。

1/13

へそのお
 
多分あんたと俺をつないでるのはへその緒だけだ。
しなびて
ばかみたいにほそく

だがそれがなければ
だれもが生まれてはこなかったはずの

あんたが好きだ
あんたとつながってなければ
あんたとであってなければ
俺は俺じゃなかったって
言ったらあんたは笑うのか?

1/10

ザッツアフィクション 

死にたいと願ったとたん、目の前が真っ暗になった。
あ、死んだのかな?なんてぼんやり思ってはいたが、はて、何をすればいいのか検討もつかない。

ただ自分の輪郭もあるかないかわからない空間で、私はただただぼんやりしているだけだ。

何もない。
何もない。

***

ぼくらは 

僕らいつかしんじまうのかな
生きてたけど

いっそ消えることはできないかな
いっそ消えることもできないのかな

1/5

しんぞう 

血が逆流するみたいに、左胸から左肩、そんで左の二の腕がじんじんした。
たぶんあんたが三日前に触ったのを、今俺が思い出したからだ。

好きだっていったら硬直したよね。
黒いひとみっていうの?虹彩っていうの?
きゅって小さくなって、まぁそれは目をがって開いたからだけどさとにかく、
あんたはすごいびっくりしてて俺も自分の口にびっくりしてて
こんなこといっちゃうぐらいなら
あんたの一物でもくわえてたかっただとか、そういう最低なことしか考えてなかったけど

帰るっていったらあんた、
まさか左の二の腕って
掴みにくいのにそういうとこを掴むんだもんナァ
ドキドキ、おさまらねえや、普通に。

1/1

ようこそ 

おはよう
こんにちは

そしてようこそ

僕を見るすべて
僕を愛すすべて
僕を殺すすべて
僕を生かすすべて

ありがとう
ようこそ

そして、大好き




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