2008 July〜September 9/29 バースデイ ありがとう、ありがとう あなたがこの世に生まれたこの日 私はいつか消えるけれど きっと きっと まだここにある日を 9/16 よなかのしじま きらきらした虫の音と さらさらした雨の音は ただただエンドレスに 僕の中に染み込んできて いつのまにか一部になる 9/7 面の皮 おまえらふざけんな そうやっていつもいつもいつも 受け止める気もないくせに 甘えるときだけ 馬鹿みたいな声だしやがって いつもいつもいつもいつも 大嫌いだ こんな俺も それを理解しようとするお前も この世のもの全て 俺に媚びうる全て 俺が媚びうる全て なくなっちまえばいいのに 8/31 雨 窓を一枚隔てた向こうでは 大雨。 遠い昔話みたいに まるで現実感なんかない。 遠い 8/24 夜中の悲鳴 苦しくて苦しくて アタシは何ともいえない涙を流した。 苦しくて苦しくて。 この不安が この闇が 起き上がりそうなその夢で 私は生きていてもいいのだろうか 8/17 教室 「ここにいたんだね」 オレンジ色に染まる教室で、君は自分の席に座ってた。 泣き腫らした瞼もきっと赤く腫れているのだろうけれど 夕日で少しもわかりはしない。 少し眠そうに見えるだけ。 「なに?」 「見つけたよ」 僕が下靴を差し出すと、机にぶつかるのにも頓着しないでこちらにやってきてそれを奪った。 手が震えている。 「どこに?」 「裏の焼却炉。5時から焼却だからよかったね。間に合って」 君ははあ、とため息をついて目にたまった涙をぬぐった。 8/8 あの日 遠かったよ、と彼はかすかにつぶやいて目を伏せた。 なにが、と尋ねようとしたが暑いせいか喉が干からびたように動かない。 たしかに遠いな、と思う。 といっても彼と同じ意味ではなく 精神的な気持ちの上で、戦争が遠いのだ。 人が当たり前に人を殺すという 半ば現代ではショーのようになっているそれが、遠い。 「いつまで、まつんですか」 やっとでた声はかすれていて おかしなイントネーションがついていた。 しかし老人は最初から答える気がないのか そもそも聞く気がなかったのか伏せたままだ。 8/1 女 ずん、と陰鬱な重さが私の子宮に居座っている。 頭もぼんやりしていて なんだか泣きそうにだるい。 私は女で 月に一度は陰鬱で だから私は彼を愛せる。 7/26 ヘイティミー 夏のアスファルトの匂いが嫌い。 冬のしんと冷える感じが嫌い。春のあの明るい世界が嫌い。 秋の優しい風が嫌い。私は私が嫌い。 そしてこの皮膚も、この声も、この匂いも、全部。 私は私が、嫌い。 7/24 ダメなんだね 「なんで私じゃだめなの?」 こんなばかみたいな、陳腐な言葉、はきたくなんかなかったのに。 私は大人で 後腐れない女で 別れた後も友達で なんてキレイごと。 私は今この瞬間、 涙や馬鹿な言葉と一緒に 彼に対する私の気持ちが溢れ出して行くのを感じてる。 7/18 くうき イン ジ エア ほの暗い。 馴れるまでは目を開けたのに閉じているみたいで、気持ち悪くなった。 となりからは静かな吐息がかすかだが聞こえてくる。 ちっ、と舌打ちをするもののその安らかな息に打ち消された。 「起きたの?」 「いまいまね」 「も、朝か」 彼女はふあ、と欠伸をひとつもらした。 空気が動いた。 こっちに擦り寄ってくる。 昨夜から丸出しの二つのやわい乳房が腕にあたる。 「しない?」 「しないよ」 「まだ暗いよ、しようよ」 「もう朝だよ。自分で言ったろ」 彼女はいやいやをして、無理に口づけてくる。 7/13 見せないで そうなんだ。 私の気のない返事に君は少し不満そうな顔をした。 だからもう一回わざとらしいリアクション。 そうすると君は苦笑。ありがと、なんて言いながら。 私はいつもこう。 君が話して、私が聞いて。 君の話とてもおもしろい。 まだ見ぬ君の友達の話はとても面白いよ。 私も、男の子になりたいなって何度も思う。 ちがうな。 君が好きな、彼になりたいな。 私には話せないことも、彼とは話すんでしょう? ちらちら見えるその断片が、私に突き刺さって 痛いよ。 7/5 暗殺 ちがう 暗殺の目標は月島じゃない。 ディランの中でばらばらのピースがおもしろいほどの速度で一枚の絵を作っていく。 理不尽な情報 漏れた筋書き 有り得ない言葉 笑う唇 「ちとせ!!!!!」 銃撃は月島をかすめ、その後ろに立つちとせ目掛けて翔ける。