体温


「寝てしまった?」

深夜に目をさまし、隣で目をつむっているユウに声をかけたが、返事はない。時間を見たら4時で、当たり前だ、寝ているだろう。
すっかり目が覚めてしまい上体を起こした。タイマーにしてあったクーラーも切れていて、たまにぶうん、と思い出したように冷蔵庫がなる。豆電球だけが光源になっているが、暗やみに慣れるとそれだけで充分明るく思える。
東のほうに窓はないから空の様子はわからないが、この時期ならもう空は白んでいるはずだ。遠くからクラクションと救急車のサイレンが聞こえる。

こうやってぼうっとしていると、たまに、わからなくなる。

僕は生きてるのか?これは夢か?現実か?死んでいるのか?

自分の血潮でさえ、この薄い皮一枚を破ることができなければ確かめることができない。

不意に隣で眠るユウが心配になって、彼女の顔に耳を近づけてみた。すやすやと寝息が耳にくすぐったい。ああ、彼女は生きてるのか。生きる彼女の隣にいる僕も生きているか。そう信じたい。
ユウの投げ出された、しなやかな手首をそっとなでると、彼女はぴくりと動いた。けれど目覚める様子はない。僕はそっと手首を持ち上げて耳につけた。とくりとくりと彼女の魂が聞こえる。

思わず泣いていた。


END


***
ランクヘッド「体温」から。
この歌がきっかけで好きになりました。
 

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